私の父
2023年11月08日
まだまだ元気で頑張っている父ですが、記憶力や認知能力に若干の不安を覚えるようになってきたとのことで、週に一回の訪問で生活サポートをしています。受診付き添いや買い物、銀行、掃除、裁縫、DIY作業の手伝いなどもしています。
今日も時間いっぱいあちこちと動きまわり、帰宅後には定期で配送してもらっているメイバランスを二人で飲みました。これは市販のカップのものではなく、四角い紙のパックのものです。そしてこれは私の癖と言っていいかとおもうのですが、私は紙パック飲料を飲んだ時はきっちりたたむのが常です。一方節約家の父は飲み終わった紙パックの上方をハサミで切り取り、最後は紙コップのようにして飲みます。
「こうすると最後まで無駄なく飲めるんだよ。」と得意顔の父は、空になった紙パックを今度はハサミで細かく切っていきます。このごみを細かく切るのは父のこだわりのひとつなので、私は黙ってそれを見ています。
切り終わると父は、私が飲み終えてたたんだ紙パックにもハサミを入れ、意地悪な姑よろしく中身を確認して無駄を見つけようとしました。
次の一瞬、父の手がとまり「何もないな…」となぜかしょんぼり呟いて、さらに空き容器の隅にまで目を光らせています。
「ああ。最後にこうやって(ストローで中身を)吸い上げながら潰すから、きれいに飲めているのかもね」とたたみ方をゼスチャーで示す私を、力なく見ている父。
それは”節約王とは我のことなり!”との自負をもつ父のプライドが揺らいだ瞬間だったようで、私はなんだか父が可愛く見えました。